商品写真の魅せ方は「モノ」から「コト」へ
- TADA Masayuki
- 6月6日
- 読了時間: 5分
こんにちは、多田優之です。
企業支援やセミナーでよくお見せする2枚のスライドがあります。ニンジンとサンマの写真なんですが、単に野菜や魚の話をしたいわけじゃないんです。
商品写真の見せ方が、時代とともにどれだけ変化してきたか。その変化に企業がどう対応すべきか。これが今日お伝えしたいことです。
毎日のように企業個別支援や窓口相談をしていると、まだまだ「昔ながらの商品写真」で勝負している企業さんが多いことに気づきます。でも、消費者の価値観はもう完全に変わってしまっているんです。
この変化に積極的に対応した企業は売上を大きく伸ばし、対応できない企業は取り残されていく。そんな現実を、日々の支援現場で目の当たりにしています。
セミナーでいつも話す「時代の変化」
私がセミナーでこのスライドを使う理由は、商品写真の変化が「時代の変化」そのものを表しているからです。

第1世代:「モノ」の時代 白背景に商品を置いて撮影。スペックや成分表示が中心。「これが商品です」という見せ方。
第2世代:「新鮮さ・品質」の時代 シズル感重視。水滴や湯気で「美味しそう」を演出。でもまだ商品が主役。
第3世代:「コト・ストーリー」の時代 使用シーン、調理過程、生産者の顔、食卓の風景。商品を通じた「体験」を見せる。
この変化、実は食品だけじゃないんです。アパレル、雑貨、家電、サービス業まで、あらゆる業界で起きています。

なぜ企業は変化に対応できないのか
窓口相談でよく聞かれるのが「うちの商品写真、これでいいですか?」という質問。
見せていただくと、多くが10年前と変わらない撮り方。商品を「引き」で撮って、スペックを並べて終わり。
「これじゃダメです」とはっきり言います。なぜなら、消費者の購買行動が根本的に変わってしまったから。
現代の消費者、特に購買力のある層は
商品そのものより「体験」を買いたい
作り手の顔や想いを知りたい
その商品で自分の生活がどう変わるか知りたい
SNSでシェアしたくなる要素を求めている
この変化を理解せずに、昔ながらの商品写真を使い続けている企業は、機会損失どころか、存在すら認識されなくなっています。

支援現場で見た成功事例
過去に支援した企業の例を、概要ですがいくつか紹介いたします。
ケース1:地方の農産物直売所
野菜の写真を「収穫→調理→食卓」のストーリーで見せるように変更。生産者の顔と一言コメントも追加。結果、ECサイトの売上がコンスタントに増加傾向となる。
ケース2:伝統工芸品メーカー
商品単体から、職人の制作風景、使用シーン、購入者の声を組み合わせた「魅せ方」に改善。若い世代やインバウンド観光客からの注文が増加。
ケース3:地域の和菓子店
商品写真に季節の風景、お茶会の様子、職人の手元を追加。商品写真も1−3枚程度から10枚以上使うことで「思わず買っちゃった」という声が増え、ネットショップだけでなく店舗もお得意さんが増加中。
共通しているのは、商品の向こうにある「物語(ストーリー)」を見せたこと。そして、それをスマホでも十分魅力的に撮影できたことです。
セミナーで必ず伝える実践ポイント
研修や個別支援で必ずお伝えしているポイントがあります。
1. まず意識を変える 「商品を見せる」から「体験を見せる」へ。この意識改革が最初の一歩。
2. 高額機材は不要 最新のスマホがあれば十分。むしろ「リアルさ」が大事。完璧すぎる写真より、親近感のある写真の方が響くことも。
3. 社内で撮影する プロに頼む前に、まず自分たちで撮ってみる。商品への愛情は、意外と写真に現れます。
4. お客様を巻き込む 使用写真を募集したり、SNSでハッシュタグキャンペーンをしたり。お客様の投稿が最高の商品写真になることも。
5. PDCAを回す 撮影→投稿→反応を見る→改善。この繰り返しが大事。

よくある反論への回答
セミナーでよく出る反論と、私の回答をまとめておきます。
「うちは B to B だから関係ない」 → B to B こそ重要です。決裁者も人間。感情で動きます。
「高齢者向けだから昔ながらでいい」 → 高齢者もスマホ使います。孫に自慢したくなる商品写真を。
「コストがかかる」 → スマホと社員の1時間があれば始められます。外注より安い。
「効果が分からない」 → まず1商品で試してください。数字は必ず変わります。
今すぐできる第一歩
窓口相談の最後に必ずお伝えすることがあります。
「今日帰ったら、御社の一番売れている商品を、スマホで10枚撮ってください」
商品単体
使っているところ
作っているところ
お客様の笑顔
梱包の様子
社員の顔
原材料
完成品を使った結果
季節感のある背景
ストーリーを感じる1枚
この10枚を撮るだけで、「何が足りないか」が見えてきます。
オンライン上で接客はできないため、「接客の疑似体験」として写真は重要です。慣れてきたら写真の何十倍もの情報量である動画も積極的に使いたいところですね。

ぜひ、接客の「疑似体験」を積極的に提供しましょう!

今回のまとめ
商品写真の「モノ」から「コト」への変化は、避けて通れない時代の流れです。
この変化を「面倒くさい」と捉えるか、「チャンス」と捉えるか。その差が、5年後の企業の明暗を分けます。
私は毎日の支援活動を通じて、変化に対応した企業が確実に成果を出している姿を見ています。逆に、変化を拒む企業が苦戦している姿も。
でも、遅すぎることはありません。今日から始められます。
高額な機材も、特別な技術も不要。必要なのは「お客様に体験を届けたい」という想いと、手元のスマホだけ。
次回お会いする時には、「写真を変えたら売上が上がりました!」という声を聞けることを楽しみにしています。
さあ、まずは1枚目の写真から始めてみませんか?
商品写真の見直しについて、個別相談も承っています。お気軽にお問い合わせください。
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