京都府内 経営支援員のための “売上アップ IT・DX研修” ガイド
- TADA Masayuki
- 5月31日
- 読了時間: 5分
―― 現場で即使えるノウハウを深掘り解説 ――
2024年11月21日にオンラインで実施した研修を、半年経過した現状にあわせてブログにしました。
当時の内容と少し変わったところがありますが、ご了承ください。
1. 研修のミッションを再確認
「IT・DXを通じて地域企業の売上、利益を上げる伴走者になる」このキーメッセージをもとに、参加者が目指すゴールは以下の3つです。
スマホ時代の消費者行動の変化を正しく理解する
無料~低コストのデジタルツールを自ら触る
明日から“自信を持って”事業者へ提案できるようになる
行動目標(スライドより)
IT活用による売上、利益アップの仕組みを説明できる
SNS・EC・生成AIの基本操作を実演できる
課題の聞き取り → ツール提案 → 成果測定の流れを伴走できる

イメージ画像:AdobeExpressにて作成
2. 消費者行動を読み解く「ULSSAS(ウルサス)モデル」
ULSSASとは、現代の消費行動を6ステップに分けたモデルです。
※出所:ホットリンク社
段階 | 行動 | 企業側の手立て |
UGC | ユーザー投稿を発見 | ハッシュタグ・撮影スポットで投稿しやすい場を作る |
Like(いいね) | 「いいね!」で興味喚起 | 写真や動画の見栄えを整える |
Search(SNS) おすすめ表示 | SNSで検索 | プロフィールを整え、ハイライト設置 |
Search(Web) 目的検索 | Googleや大手EC等で比較 | サイト・GBP情報を最新に保つ |
Action | 購入・来店 | 決済・予約導線をシンプルに設計 |
Spread | 体験を共有 | 再投稿・レビュー依頼など循環を促す |
支援では、事業者と一緒にULSSASのどこが弱いかをチェックリストで可視化し、1項目ずつ改善していくことがポイントです。

3. 無料で始める IT 活用——3つの基本方針
ツールは“無料→有料”の階段を上がる
例:Googleビジネスプロフィールから、有料ツールへ移行
“スマホだけ”で完結する運用設計
現場でPCが開けない事業者でも、更新が止まらない設計が大切
効果を数値で可視化して次施策へ
エンゲージメント数や問い合わせ数など、段階的に指標を設定
支援員自身が自身のスマホで実演できるようにしておくと、事業者の心理的ハードルが下がります。
4. SNS × 生成AI:投稿作業を50%時短する実践メニュー
ショート動画活用法(Instagram リール/TikTokなど)
動画の視聴率は静止画の約2~3倍にも
美容室の事例:ビフォーアフター動画を週数回投稿し、新規予約が25%増加
初動15秒が勝負。ストーリー性も大切だが“変化や驚き”を重視
字幕はCanvaで作成し、わかりやすい色分けで視認性UP
ChatGPT/音声入力で投稿文を作成
テーマ・雰囲気・ターゲット・文字数・ハッシュタグを話し言葉で入力
「もっと親しみやすく」「最後を質問形にして」など調整指示
完成文をコピーしてCanvaのデザインテンプレートへ流し込む
音声入力を使えば、1分程度で下書きが完成。手入力が苦手な事業者でも取り組みやすくなります。
テンプレ例(研修資料より):
今日紹介する商品:○○。30代女性向け、140文字、絵文字少なめ、ハッシュタグ3つ
カスタムGPT(GPTs)でメール問い合わせ窓口を平準化
FAQ(よくある質問)を事前登録し、営業時間外も対応可能
働いて日の浅いスタッフでも、メール返信の下書きが作れる
回答文章を出力→よくある質問のブラッシュアップに活用
5. EC × デザインツールで売れるビジュアルを量産
Canva/Adobe Express の活用(スマホアプリでも作成可能)
POPやSNSバナーは「①訴求コピー ②写真 ③行動ボタン」の3カラム構成で作成。テンプレに骨格を持たせ、文字や色、写真を変えて作ります。
アニメーションで5秒GIFを作れば、Instagramストーリーズにも展開可能です。
※写真の構図も大切です!

クラウドファンディング成功事例
和装デザイナー事例:目標60万→約190万達成(支援者約60人)
Canvaで作ったキービジュアルをSNSで拡散
限定カラーやストーリー性で共感を醸成
ECデータから改善サイクルを作る
GoogleアナリティクスやEC管理ツールで月次データを可視化
売れ筋・死に筋を把握し、在庫や広告配分を調整
SNSリンク経由売上を追跡し、ハッシュタグなどの効果も測定
6. データ分析ツールで「感覚」から「根拠」へ
Search Console Insights
人気ページ/流入ワード/リピート率を図解で表示
記事更新後90日でPVが3倍に(研修資料サイトでの実測値)
支援現場ではトップ3キーワード+閲覧数の多いページを印刷して共有
Googleビジネスプロフィール(GBP)
閲覧数/経路検索/電話タップの数値が一目で分かる
写真を週2枚追加した飲食店で、電話問い合わせが1.6倍に増加
投稿予定の写真や動画を確認し、改善点をフィードバックすると効果的

7. 明日から動ける「型」を持つ:実践アクションプラン
アクション | 内容 | 所要目安 |
ULSSAS診断シート作成 | A4印刷用チェックリストを作成 | 約20~30分 |
ChatGPT体験ハンズオン | テンプレ文を3パターン実演、音声入力で投稿文作成体験 | 約5~15分 |
Canva共同制作ワーク | バナーテンプレ選定 → 文字差し替え → SNS投稿まで実施 | 約20~30分 |
データ報告フォーマット配布 | GBPスクショ+数値の月次表に転記 | 約10~20分 |
ポイントは「見る→触る→自社に当てはめる」の3ステップを回すこと。体験が行動につながる設計を意識します。
8. まとめ:デジタルは“少額・小規模・短期間”で勝ちグセをつける
無料ツールとスマホ運用で導入ハードルを下げる
生成AIやテンプレで作業を時短、空いた時間を接客や相談へ
データをもとに成果を見える化し、次の投資へつなぐ
IT・DXは「終わりなき山登り」ではなく、「小さな丘を越え続ける散歩」です。支援員の皆さんがまず一歩ツールを使ってみて、成功の感覚を掴んでください。それを地域事業者に届けていく——それこそが、伴走支援の真髄です。
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